ショパンのバラード1番 Op. 23 。
今季、羽生結弦選手がショートプログラムで使用していた曲。
今年に入ってからのこのプログラムを見ていると、
バレエ『椿姫』ノイマイヤー版が頭に浮かんで仕方なかった。
以前の私にとっては、この曲は、
バレエ『椿姫』のイメージ。
うっとりするような甘さと、その中で現れる激しさと。
そんな曲調が、このシーンと振付にぴったり合っていて、
ノイマイヤーの才能ってどうなってんの!?
と、倒れそうになる。
神様が、あなた絶対振付家になるのよ、と決めた人なんだろうな。
ザハロワの身体を見てると、これまた、
神様が、あなた絶対バレリーナになるのよ!
それ以外になろうとしたって邪魔するわよ!
くらいの勢いで運命を決めた人なんだろうなと思う…。
さて、ノイマイヤーの『椿姫』のイメージだった
このショパンのバラードのイメージを
がらりと変えてくれたのが、
浅田真央さんのエキシビジョン。
タチアナ・タラソワさんの振付で、
バレリーナが一人でレッスンしているイメージ、
と聞いたような気がする。
衣装は2パターンあって、
レオタードに巻きスカートのまさにレッスン着のような白と、
チュチュボンを重ねたような黒。
(椿姫でも黒と白の衣装が印象的に使い分けられるけれど、
こんな風に黒と白を両立させているのがまた素敵だった。)
全曲ではなく、抜粋して使われているのですが、その構成が、
ウォームアップから始まって、だんだん本気のレッスンになり、
クールダウンを経て、本番舞台へ臨む思いで終わる…
そんなイメージに聞こえてました。
この浅田真央&タチアナ・タラソワ版バラードのイメージが
鮮烈で、印象深かったので、
今シーズンのはじめ、
羽生選手のショートはバラード、しかもジェフリー・バトル振付と聞いて、
『椿姫』タイプではなく、『真央&タラソワ』寄りのバラードを
勝手に想像していました。
あの伝説のニースでのロミオとジュリエット以来、
激しく思いをぶつけるように滑るイメージがあった羽生選手。
最初に見たときは、
それだけではない羽生選手を見せようとする振付なのかな、
バトルさんらしい流麗さ溢れる作品だなというのが個人的な感想。
その後、様々なアクシデントに見舞われた羽生選手。
最終的に、今季初めに勝手に勝手に想像していたバラードではなく、
今季の羽生選手を物語るかのような、激しいバラードになっていて、
そして、無性にノイマイヤーの『椿姫』を見たくなった。
全幕、しかも懐かしのマリシア・ハイデ版も見つけたりして。
これはバレエ映画として撮られたものなのかな?
(バラードは、1:26:30くらいから)
さて、今年に入ってからの
羽生結弦選手版バラード。
入院中に、音楽を繰り返し聴いて、
音と振付を一つ一つ合わせていったのだろうか…
と想像させるような、
緻密な、羽生結弦版バラードだと思いました。
しかもなんかもう動きまくってるし。
これはこれで、素晴らしい!と思うのだけど、
いつか、激しさを封印した、
穏やかな羽生結弦プログラムも見てみたいなと思うのです。
いや、
プログラムだけでなく、
どうぞ穏やかな日々を…
いくらアクシデントがモチベーションになるといっても、
アクシデント多すぎるでしょ…。
神様、よろしくお願いしますよ。