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葉っぱのように

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浅田真央選手の表現力

ソチオリンピックが近付いてきた。

前回のオリンピック前後、そして今でも、
どうにもこうにも納得できないことがある。

それは、浅田選手に対し、
表現力が無いという論調だ。
今は「表現力がついた」と言われている。

彼女の表現力は当時から素晴らしかったし、
今はその範囲をさらに広げただけだ。
無かったわけでも、ここ最近ついたものでもない。

一番わかりやすいのが、
フリープログラム『仮面舞踏会』と
ショートプログラム『仮面舞踏会』の比較だと思う。

バンクーバーの前のシーズン、フリーでの『仮面舞踏会』。
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夫に疑われ、最後にはその夫に毒殺されてしまう、ニーナ。

トリプルアクセルという、真央選手以外、
試合で成功させた女子選手は数人しかいない難しいジャンプを跳んだ身体で、
終盤に配置された激しいステップを踏む姿は、
そのままニーナの苦しみを見るようだった。

が、そうした肉体的なことだけではなく、
彼女はニーナを表現していた。

それがはっきりとわかるのは、
同じ仮面舞踏会を、テーマを変えて舞った、
バンクーバーシーズン、ショートでの『仮面舞踏会』だ。

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初めての華やかな舞踏会で、わくわくしている…
そんな、全く違うテーマを与えられた真央選手。

曲は、ハチャトゥリアン『仮面舞踏会』の同じパートを短くしたもの。
振付けも、基本的には同じ。
ステップは、花びらが舞うようなきらびやかなものに大きく変わったが、
全体的に、同じモーションがほとんどだ。

それを、真逆とも言えるテーマで、
真央選手は見事に滑り分けてみせた。

顔の表情で、ではない。

もちろん、顔でも表現しているが、
それだけではない。顔はほんの一部分だ。

体全体、そして何より足元で表現している。
フリーのときは重厚に、
ショートのときは跳ね上げるように滑っている。

比べてみて欲しい。
「表現力がない」「表現力がついた」と言っている人に、
二つの『仮面舞踏会』を見てみて欲しい。

同じ曲、ほぼ同じモーションを、これだけ見事に滑り分けた
真央選手を、あなたは何と表現するのかと尋ねてみたい。

バレエ『白鳥の湖』『ジゼル』など、
一人のバレリーナが二役を踊る作品がある。
白鳥と黒鳥、人間と精霊、違うキャラクターを
一つの作品の中で踊り分けるのが見どころになっている。
難しいことだが、だからこそ見どころなのだ。

難しい、けれど…
キャラクターに合わせて作り込まれた音楽も後押ししてくれるのだ。

それすら奪われた浅田選手のFS『仮面舞踏会』とSP『仮面舞踏会』。
タラソワ先生、何てことさせるんだろう…と最初はひやひやした。
けれど、最後には、タラソワ先生、ありがとう!と心から感謝した。
「表現力が無い」と言われ続けている真央選手の、
素晴らしい表現力を、ずばりと見せてくれた!と。

…それなのに「表現力がない」と、言われ続け、
最近になって「表現力がついた」と言われるようになったなんて…。

「前から表現力はありました。今はさらに強化されています。」

ソチを前に、声を大にして言っておきたいです。


*画像は『浅田真央POWER&BEAUTY』からです。
 バンクーバー当時の栄養&トレーニングサポートチームの手によるもので、
 私たちの生活にも取り入れやすいトレーニング法も多くあります。
 何より、チームの方々の愛情と情熱が伝わってくる本です。



by atomsalada | 2014-01-05 12:29 | 浅田真央さん